山手線の地価は全駅で上がりました。ただし「上がったから売りどき!」とはいかないようです。
2026年の公示地価を29駅ぶん(高輪ゲートウェイは平均がまだ未公表)並べたところ、上昇率の最下位は東京駅の+3.61%。坪7,641万円という最高額クラスの駅が、いちばん伸びていません。
逆に上位を占めたのは田町・新大久保・浜松町でした。
地価が高い駅ほど伸びない理由を、数字で追います。
📌 この記事の結論
- 上昇率1位は田町+18.87%、最下位は東京駅+3.61%
- 坪単価が高い駅ほど上昇率は低い。すでに織り込まれているから
- 伸びている駅は「再開発型」と「出遅れ型」の2種類だけ
- 上がったから売る、は危険。買い直す場所も同じだけ上がっています
山手線29駅の地価上昇率ランキング【2026年】
公示地価の坪単価平均と、前年からの変動率です。上昇率の高い順に並べました。
| 順位 | 駅 | 変動率 | 坪単価 |
|---|---|---|---|
| 1 | 田町 | +18.87% | 1,861万円 |
| 2 | 新大久保 | +18.73% | 846万円 |
| 3 | 浜松町 | +18.40% | 1,100万円 |
| 4 | 五反田 | +17.03% | 1,138万円 |
| 5 | 駒込 | +16.44% | 451万円 |
| 6 | 日暮里 | +16.27% | 500万円 |
| 7 | 上野 | +15.87% | 1,516万円 |
| 8 | 秋葉原 | +15.83% | 1,401万円 |
| 9 | 御徒町 | +15.52% | 1,881万円 |
| 10 | 大崎 | +15.50% | 973万円 |
| 11 | 巣鴨 | +15.16% | 517万円 |
| 12 | 池袋 | +15.07% | 1,434万円 |
| 13 | 田端 | +14.58% | 324万円 |
| 14 | 品川 | +14.41% | 1,830万円 |
| 15 | 西日暮里 | +14.40% | 388万円 |
| 16 | 高田馬場 | +14.35% | 748万円 |
| 17 | 目黒 | +14.19% | 772万円 |
| 18 | 鶯谷 | +14.02% | 331万円 |
| 19 | 大塚 | +14.00% | 447万円 |
| 20 | 恵比寿 | +13.62% | 1,065万円 |
| 21 | 神田 | +13.30% | 1,836万円 |
| 22 | 渋谷 | +13.25% | 3,346万円 |
| 23 | 代々木 | +13.20% | 1,239万円 |
| 24 | 目白 | +12.60% | 439万円 |
| 25 | 新橋 | +10.56% | 3,396万円 |
| 26 | 原宿 | +10.48% | 7,404万円 |
| 27 | 新宿 | +9.26% | 5,007万円 |
| 28 | 有楽町 | +6.71% | 7,959万円 |
| 29 | 東京 | +3.61% | 7,641万円 |
出典:土地代データ 各駅ページの2026年[令和8年]公示地価。変動率は各地点の変動率の平均です。高輪ゲートウェイは駅単位の平均が公表されていないため除外しました。
全29駅がプラスです。下落した駅は1つもありません。ただし幅は+3.61%から+18.87%まで。5倍以上の開きがあります。
なぜ東京駅が最下位なのか?
坪単価の上位5駅と、その上昇率を並べてみます。
| 駅 | 坪単価 | 上昇率 | 順位 |
|---|---|---|---|
| 有楽町 | 7,959万円 | +6.71% | 28位 |
| 東京 | 7,641万円 | +3.61% | 29位 |
| 原宿 | 7,404万円 | +10.48% | 26位 |
| 新宿 | 5,007万円 | +9.26% | 27位 |
| 新橋 | 3,396万円 | +10.56% | 25位 |
坪単価トップ5が、上昇率では25位から29位に固まりました。偶然ではありません。
理由はすでに上がりきってるからです。
丸の内や銀座の土地は、何十年もかけて「日本で最も価値が高い場所」という評価を受け切っています。これ以上の材料が出にくい。
一方、田町の坪1,861万円には伸びしろがありました。品川の再開発が本格化して、芝浦側の評価が追いついてきた。だから1年で+18.87%動きます。
株でいえば、時価総額の大きい銘柄ほど株価が動きにくいのと同じ構図です。
東京駅・有楽町など=大型株
田町・新大久保など=低位株

アナリスト
伸びた駅は2種類しかない
上位10駅を見ると、はっきり2つに分かれます。
🏗 再開発型
田町 +18.87%
浜松町 +18.40%
五反田 +17.03%
大崎 +15.50%
工事とビルの竣工が評価を押し上げたタイプ
🐢 出遅れ型
新大久保 +18.73%
駒込 +16.44%
日暮里 +16.27%
巣鴨 +15.16%
安かったぶん、周囲に引っ張られて上がったタイプ
再開発型は理由がはっきりしています。田町と浜松町は、品川・高輪エリアの工事が進むにつれて評価が連動しました。
わかりにくいのは出遅れ型です。新大久保の+18.73%には再開発がありません。では何が起きたのか?
コリアタウンの商業需要です。店舗が土地を取り合う状態が続いて、商業地としての評価が上がりました。住む人の需要ではなく、商売をする人の需要で地価が動いています。
駒込や巣鴨は性格が違って、単純に「安すぎた」のが戻ってきた形です。文京区・豊島区の住宅地として、周囲と比べて割安に放置されていました。
✍ 査定で毎回ぶつかったこと
査定の仕事をしていた5年間で、お客さんから一番多く聞かれたのが「うちの土地、去年より上がってますよね」でした。公示地価がニュースになった直後は特に増えます。
困るのはここからで、公示地価が上がっても査定額がそのぶん上がるとは限りません。公示地価は標準地という決まった地点の評価です。その地点から2本裏の道に入っただけで、前面道路の幅も日当たりも変わります。
一度、同じ町内で公示地価+14%の年に、査定額が前年とほぼ同じだった土地がありました。理由は接道でした。4m未満の道路にしか面していなくて、建て替えのときにセットバックが必要だった。数字が上がっても、その土地の弱点は動きません。
「上がったから売りどき」が危ない理由
ここが今回いちばん伝えたい部分です。
地価が上がったと聞くと、売却を考える人が増えます。実際、相場が高いタイミングで売れば手取りは増えます。
ただし売ったあと、どこに住むのか?
同じ山手線沿線で買い直すなら、買う側の価格も同じだけ上がっています。高く売れた分がそのまま次の購入費に消える。
意味があるのは、次の3つのどれかに当てはまる場合です。
・エリアを変える(山手線から郊外、または地方へ)
・広さを落とす(戸建てからマンションなど)
・そもそも住まない家を持っている(相続した実家、空き家など)
逆に「同じ駅で同じ広さに住み替える」なら、売買のたびに仲介手数料と税金が出ていくだけです。
上昇率が高い駅ほど、この判断は慎重にしてください。田町や浜松町のように1年で18%動いた駅は、次の1年も同じように動くとは限りません。
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🏡 今の価値を知ってから決める
公示地価と実際の査定額は一致しません。複数社の査定を比べると、自分の土地や家がどう評価されているかが見えます。売るかどうかは後で決めてかまいません。
地価と家賃は比例しない
最後に1つ。地価が高い駅が、住むのに高い駅とは限りません。
東京駅は坪7,641万円で山手線トップクラスですが、単身向けの家賃相場は13.35万円で21位です。地価が安い田端は坪324万円で、家賃は9.8万円の最安。
地価は商業地の評価に引っ張られます。オフィスと店舗が集まる駅ほど高く出る。住む場所としての価格は、別の物差しで決まります。
借りる前提で駅を選ぶなら、地価ではなく家賃相場を見てください。
今回も最後までご覧いただきありがとうございました。
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免責事項
本記事は公開データにもとづく分析であり、特定の不動産の売買を推奨するものではありません。公示地価は毎年1月1日時点の標準地の評価で、個別の土地や建物の査定額とは一致しません。変動率は各地点の変動率の平均であり、平均地価そのものの変動率ではない点にご注意ください。実際の売却や購入にあたっては、不動産会社や税理士等の専門家にご相談ください。


